第4回「嘘」
大人たちはことあるごとに子供に
「嘘つきは泥棒の始まりだ」と言い、
嘘がいかに悪いことかを教え込む。
しかし子供が
「勉強なんてしたくありません」
「あんたみたいな大人になりたくありません」
「まだ泥棒の方がマシです」
などと正直に言うと、
烈火のごとく叱るのである。
たいていの子供はそこで
「本当のことを言うのもまずいらしい」
と学び、
大人が喜びそうな嘘の言動をくり返して
その後の人生を送ることになる。
なかなかうまくできている。
例えば
一緒にいたくない相手にお茶を誘われて
本当は用事はないのに
「今日は用事があるので」
と断るようなことは、誰でもやっている。
がしかし、
たまに教育の行き届いた人がいて
「用事がある=嘘である=嘘は罪である」
と考えて、本心では一緒にいたくない相手と
お茶をして無為な時間を過ごす人がいる。
その人は自分に嘘をついているのだが、
そこに気づいていない。
自分につく嘘のことまでは
誰も教えてくれなかったからである。
自分にだけは嘘をつきたくない。
大切な人生を無駄にしてしまわないため
私の理想の答えはこうである。
「用事はないけど
あんたなんかと付き合う時間はないっ」
なんと正直な!やはり正直は気持ちいい。
がしかし・・なかなかそうはいかない。
そういう人生もまた、しんどそうである。
自分を守るための嘘は「よし」としている。
幸い、
それでまだ泥棒にはなっていないようである。
ルパンくらいにならなってもいいのだが。
南郁夫
野球観察者
スポーツと健康のWEB &FREEマガジン「K!SPO(ケースポ)」で野球コラム掲載中
*ここ3日連続で無意識にある歌を口ずさんでいたのです。
昭和歌謡、中条きよしの「嘘」。
男の作詞家が書いた女目線の歌詞に違和感を覚えながら
何故3日連続で、、。だからミナミさんのお題にしてみました。